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生活保護を受ける条件とは:地域&家族構成ごとの金額と実際の申込方法

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生活保護を受ける条件とは:地域&家族構成ごとの金額と実際の申込方法

「小さい子供がいて、長い間は働けない。
とは言え生活していくにはお金が必要だし…」

そんな方が健康に暮らしていくための制度が「生活保護」です。
あなたがその受給権利を満たしているのであれば、生活を向上させるためにもぜひ活用したい制度だと言えるでしょう。

今回はそんな「生活保護」について、「月収いくら以下なら、いくら受給できるのか」といった基本的な条件から、実際の申し込み方法までを詳しくまとめました。
読み進めていただければ、今のあなたが取るべき行動が分かります。

目次

生活保護は月収いくら以下なら受けられるの?地域・家族構成ごとの例

生活保護は月収いくら以下なら受けられるの?地域・家族構成ごとの例

前提として、生活保護を受けられるのは「世帯の収入が、国の定める最低生活費に満たない場合」です。
逆に言うと、申込者が必ずしも無収入である必要はありません。

それでは早速、家族構成や地域ごとの「保護基準」について見ていきましょう。

①一人暮らしの成人なら月収「約13万円」以下で生活保護を受けられる可能性あり

一人暮らしの成人の方の場合、月収が「130,010円」以下であれば生活保護を受けられる可能性があります。

ただし、申込者の年齢や地域、そして家賃の有無によってこの保護基準は引き下げられますのでご注意ください。

住宅扶助基準(家賃などの支援)の金額は最大53,700円(1級地の場合)で、実際に支払っている家賃・地代に対してのみ発生します。

そのためあなたが家賃を支払う必要がない状態だったり、53,700円以下の家賃で生活しているのであれば、生活保護を受けるための保護基準はより厳しくなりますのでご注意ください。

1級地-1最大130,010円
※家賃を差し引くと76,310円
東京23区とその周辺地域、埼玉県川口市、さいたま市、
神奈川県の7市郡、
愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府の17市、兵庫県の7市
1級地-2最大127,420円
※家賃を差し引くと73,720円
北海道札幌市・江別市、宮城県仙台市、埼玉県の6市、千葉県の6市、東京都青梅市・武蔵村山市、神奈川県の9市、大阪府10市、福岡県福岡市・北九州市
その他京都府・滋賀県・兵庫県・岡山県・広島県の一部地域
2級地-1最大116,460円
※家賃を差し引くと71,460円
北海道の10市、青森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・栃木県など、1級地に記載のない都道府県の県庁所在地、
群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・静岡県・愛知県・京都府・大阪府などの一部地域
2級地-2最大116,460円
※家賃を差し引くと71,460円
北海道、愛知県、岐阜県、広島県、福岡県などの一部地域
3級地-1最大106,930円
※家賃を差し引くと66,030円
北海道網走市・富良野市など多数
3級地-2最大105,530円
※家賃を差し引くと64,630円
上に属さないその他の地域
※申込者の年齢が20歳~40歳でない場合、給付の対象となる最低生活費はより引き下げられます。(詳しい計算については後述

あなたの住所がどの級地に属するかは、以下の公式PDFより確認できます。

CHECK厚生労働省公式PDF「お住まいの地域の級地を確認」

②親1人+3歳の子供1人なら月収「約20万円」以下の世帯が対象

「20歳〜40歳の親ひとり、3歳の子供ひとり」というひとり親家庭の場合、世帯収入が月203,794円以下であれば生活保護を受けられる可能性があります。

ただしこちらも一人暮らしの方と同様、保護基準は「お住まいの地域」「実際に支払っている家賃の金額」によって変わります。

1級地の場合、住宅扶助基準(家賃の支援)を差し引くと生活保護の保護基準は「月収150,094円以下の方」となりますね。

CHECK2.意外と簡単!生活保護における保護費の計算方法

★同様の条件で「3級地ー2」にお住まいの場合、生活保護を受けるためには月収172,977円(家賃を差し引くと132,077円)以下である必要があります。

③親2人+3歳、1歳の子供1人ずつなら月収「約23万円」以下の世帯

同様に「20歳~40歳の親2人」「3歳・1歳の子供が1人ずつ」という家庭の場合、東京都などの1級地であれば世帯収入が月233,804円以下の場合、生活保護を受けられる可能性があります。

ここから家賃を差し引いた場合の基準は「月180,014円」ですね。

④障害者や小学生~高校生のいる家庭、医療費や介護費が発生しているなら給付額はプラスされる

ここまでに挙げた例は、いずれも障害者や小学生〜高校生が世帯に含まれないことを前提としてきました。

ですが世帯に3級以上の障害者手帳をお持ちの方、あるいは小学生~高校生の方が含まれるのなら、生活保護の保護費は引き上げられます

その他、医療機関に支払う費用や介護サービスの利用負担額も保護の対象となりますので、実際に生活保護を受けるための月収の基準は、上に挙げた数字よりも柔軟と考えてよいでしょう。

意外と簡単!生活保護における保護費の計算方法

意外と簡単!生活保護における保護費の計算方法

あなたの世帯の月当たりの収入が保護基準(国が定める最低生活費)を下回っていたなら、生活保護を利用できる可能性があります。

ここからは支給される保護費を計算する方法について見ていきましょう。
スマートフォンのアプリを含む、電卓1つあれば計算できますのでご安心ください。

①まずはあなたのお住まいの「級地」を確認

生活保護の支給額は、あなたのお住まいの地域によって数万円単位で変動します。

まずは以下の公式PDFより、あなたの住所の「級地」をご確認ください。

この級地は家賃が高い都心部ほど高く設定されています。

CHECK厚生労働省公式PDF「お住まいの地域の級地を確認」

②家族構成に応じた「生活扶助基準」を2通り計算、高い方を採用しよう

生活保護費は簡単に言うと、「2パターンの計算をしてその高い方+子供の数などに応じた加算」といった方法で計算されます。

計算に用いる数値については厚生労働省が配布している資料(PDF)をご覧ください。

まずは上の資料を基に、「1級地で一人暮らしをする場合」の生活保護費を計算してみました。

1級地-1、1人暮らし(20歳~40歳)
基準額①/逓減率①基準額②/逓減率②
生活扶助基準(第1類)42,020円(親)47,420円(親)
逓減率×1.0%
生活扶助基準(第2類)45,320円28,890円
①にのみ適用される減額×0.855
住宅扶助基準最大53,700円
合計128,375円130,010円
(高い方を採用)

数字についてはPDFの方をご覧いただくとして、計算の流れとしては以下のようになります。

生活保護費の計算方法
  1. 世帯人数とお住まいに応じて
    生活扶助基準(第1類)基準額①×逓減率①+生活扶助基準(第2類)基準額①×0.855
    を計算
  2. 世帯人数とお住まいに応じて
    生活扶助基準(第1類)基準額②×逓減率②+生活扶助基準(第2類)基準額②
    を計算
  3. 1、2の計算結果のうち、高い方を採用
  4. 級地に応じた家賃や障害者、児童の数に応じた加算

……とは言うものの、よく分からないようであれば役所の方に計算してもらっても構いません

上の計算は、「自分の世帯が生活保護を受けられる可能性があるか知りたい」という場合に試してみると良いでしょう。

③あとは障害者や児童(子供)の有無、母子家庭かどうか等に応じた加算を

障害者や子供のいる家庭、母子家庭では保護費が加算されます。

計算に用いる数値については先の例と同じく、厚生労働省が配布している資料(PDF)をご覧ください。

ここでは2つの例を計算させていただきました。

1級地-1、20歳~40歳の親1人と3歳の子1人
基準額①/逓減率①基準額②/逓減率②
生活扶助基準(第1類)42,020円(親)

27,490円(子)
47,420円(親)

44,630円(子)
逓減率×1.0%×0.8548
生活扶助基準(第2類)50,160円42,420円
①にのみ適用される減額×0.855
住宅扶助基準 最大53,700円
母子世帯等の加算18,800円
児童を養育する場合の加算10,190円
合計185,007円203,794円
(高い方を採用)
1級地-1、20歳~40歳の親2人と3歳、1歳の子1人ずつ
基準額①/逓減率①基準額②/逓減率②
生活扶助基準(第1類)42,020円(親)×2

27,490円(3歳の子)

21,820円(1歳の子)
47,420円(親)×2

44,630円(3歳の子)

44,630円(1歳の子)
逓減率×0.95%×0.6010
生活扶助基準(第2類)57,560円49,080円
①にのみ適用される減額×0.855
住宅扶助基準 最大53,700円
児童を養育する場合の加算10,190円×2
合計231,657円233,804円
(高い方を採用)

いくつか計算してみたところだと、「②」の計算式が採用されることの方が多いようですね。

生活保護を受けられる・受けられないのはどんな人?

活保護を受けられる・受けられないのはどんな人?

生活保護を受ける条件は、収入の低さだけではありません。

ここからは生活保護を受給できる基準についてお話していきます。

①真っ先に挙げられる保護対象は「けがや病気、介護などを理由に働けない人」

生活保護は、日本国憲法に定められた「健康で文化的な、最低限度の生活」を営む権利をすべての国民が享受するための制度です。

そのため生活保護の対象として真っ先に挙げられるのは、怪我や病気・障害、介護などを理由に十分な収入を得られない方となりますね。

②働いていても月収が保護基準を下回っているのなら、差額を受け取れる

生活保護を受けられるのは、収入がない方だけではありません。
何らかの形で働いていても、世帯の収入が最低生活費(国が定めている保護基準)を下回っていたなら、その差額分だけ生活保護を受けられます。

例:20万円の生活保護を受けられる世帯の月あたりの収入が13万円なら、差額の7万円を受給できる

生活保護は「何らかの事情で働けない」という方はもちろん、「働いているのに生活が厳しい」という方でも利用できるということですね。

③土地、価値ある物品など「自宅以外の売れるものは全部売った」ことは大前提

生活保護を受けられるのは、保有する不動産、車、価値ある物品、貯金、保険、年金、手当などをすべて処分または活用し、「資産が無い」状態でなお生活に困窮している方に限られます。

世帯収入が低くても切り崩せる貯金があるような状況だと、生活保護は利用できませんのでご留意ください。

ただし生活のための持ち家を売却する必要はありません。

★土地や仕事などの状況によっては、例外的に自動車の所有を認められる場合があります。

④生活の支援ができる家族や親族がいる場合は利用できない

家族や親族から援助を受けられる場合、生活保護を受けることはできません

ただし親族との関係などによっては相談に応じてもらえます。

CHECKよくある質問:収入のある親族はいますが、絶縁状態、または関わりあいたくない状態です

生活保護の申し込みは市区町村が定める「福祉事務所」などへ

生活保護の申し込みは市区町村が定める「福祉事務所」などへ

あなたが生活保護の受給条件を満たしているのなら、ここからはその申し込み方法について見ていきましょう。

①まずはあなたのお住まいの地域の申し込み窓口をチェック

生活保護の申し込み窓口は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当です。
具体的な窓口の名称は、自治体によって異なります。

とは言えこれについては「(市区町村名) 生活保護」といったキーワードで検索することで、簡単に確認できるでしょう。

例えば東京都立川市なら立川市役所の「生活福祉課」、福岡県福岡市なら行政区ごとの「保健福祉センター(福祉事務所)保護課」が問い合わせ先となっています。

事前の予約が必要かどうかも自治体によって異なりますが、公式HPに明記が無いようであれば、事前に電話を入れておくと安心です。

②収入証明書、資産申告書など必要な書類の準備も進めておこう

生活保護に申込を行う過程では、世帯の収入や資産の状況を申告する必要があります。

実際に必要な書類については福祉事務所の地区担当員(ケースワーカー)から案内を受けることができますが、可能であれば「直近3ヶ月分の給与明細書」「預金通帳」「生命保険の内容が分かる契約書」「年金証書」などの用意を進めておけると良いですね。

これについては愛媛県松山市が「ご準備いただきたい物」として詳しく公開しているため、参考にしてみてください。

CHECK愛媛県松山市公式PDF「申請や相談時にご準備頂きたい物」
※すべての書類を揃える必要はありません。

生活保護を受けるには調査(審査)が必要……その内容や流れとは

生活保護を受けるには調査(審査)が必要……その内容や流れとは

ここからは、生活保護の手続きの流れについてお話していきます。

①市区町村が「扶養できる親族がいないか」「処分できる財産などがないか」を調査

生活保護を受けられるのは、原則として「活用できるものをすべて活用してなお、生活に困窮している方」です。

そのため福祉事務所は、生活保護の申請をした人に対して、保護の決定のために調査を実施します。

その中には「家庭訪問」や「扶養義務のある親族への問い合わせ」も含まれます(後者については応相談)。

生活保護を申請された方は、保護の決定のために以下のような調査を実施します。

  • 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
  • 預貯金、保険、不動産等の資産調査
  • 扶養義務者の扶養(仕送り等の援助)の可能性調査
  • 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
  • 就労の可能性調査

愛媛県松山市の公式HPより

調査に同意しない場合は、申請を却下されてしまう場合があります。

収入や資産、生活の状況に関する調査が行われる点については、あらかじめご承知おきください。

②申請から原則14日以内に結果が出る

調査の結果は法令に基づき、申請をした日から原則14日以内に通知されます。

通知結果は原則として、自宅に書面で届きます。
書面が届いたら案内に従い、福祉事務所で手続きを済ませましょう。

最初の保護費は保護の決定後、役所を訪問した際に手渡しで支給されます。

③納得ができない場合には再審査請求も可能

仮に生活保護の申請を却下され、その調査結果に納得ができない場合には、行政不服審査法に基づき再審査の請求が可能です。

再審査については生活保護の否決を知らせる書面にも案内が記載されているでしょう。

ただし再審査を行ったからと言って、確実に保護が決定するとは限りませんのでご注意ください。

生活保護の水際作戦とは

役所は行政法に基づき、生活保護の申し込みを受けた後は必ず適切な審査を行い、14日以内に結果を出す必要があります。

これに対し、役所が「そもそも生活保護の申し込みを受け付けない」、いわゆる水際作戦を行ったという噂や情報はしばしば確認されています。

生活保護に対する姿勢は市区町村によって異なるため一概には言えませんが、仮に申請自体を却下された場合には、適切なNPO法人や行政書士などに相談してみるのも良いでしょう。

生活保護の受給が決定した後の義務について

生活保護の受給が決定した後の義務について

税金を生活費として使用していくため、生活保護の受給者には相応の義務が生じます。

ここからは生活保護の受給が決まった後に、「受給者がすべきこと」についてお話していきます。

①ケースワーカーの指示には、原則として従わなければならない

生活保護は法律の上で、以下のように定められています。

被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。

生活保護法 第60条第1項より

被保護者(=生活保護の受給者)は上の義務を果たすため、生活指導を行うケースワーカーと定期的に面談をしたり、指導を受けたりする必要があります。

仮にあなたの支出や就労の状況に問題があるのなら、ケースワーカーはそれに言及することでしょう。

その指示に従わなかった場合には、保護を変更、停止、廃止されてしまう可能性があります。

★ただし「働けない状況の方を、無理やり働かせる」といったことはありませんのでご安心ください。

②臨時のものを含む収入は、毎月申告しなければならない

あなたが得た給与や年金、その他臨時の収入などは、毎月すべて申告する必要があります。

この「収入」には、クレジットカードや各種ローンといった後払い型の支払い方法も含まれますのでご注意ください。

また保護費を増やすために収入を過少申告した場合、保護の取りやめに至る可能性があります。

生活保護に関連するよくある質問と回答

生活保護に関連するよくある質問と回答

ここからは、生活保護に関係するよくある質問にお答えしていきます。

①収入のある親族はいますが、絶縁状態、または関わりあいたくない状態です。

DVなどを理由に扶養義務のある親族を頼れないという場合には申請の際、地区担当員に必ずお伝えください

生活保護の受給についての融通の他、状況によっては仮住居などの提供を受けられる場合もあります。

ただし柔軟な対応が取れるかどうかは自治体や地区担当員によっても異なります。
場合によっては支援団体などを頼ることもご検討下さい。

②生活保護の受給ができるか分かるまでの生活費がありません。

生活保護を受給するまでの生活費が足りないという状況であれば、「臨時特例つなぎ資金貸付」「生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金」といった制度を利用できる可能性があります。

生活保護と同じ窓口から相談が可能なので、申し込みの際に一緒に尋ねてみると良いでしょう。

③住所がなくても生活保護は利用できますか?

はい、利用可能です。
まずはお住まいの地域の窓口にお問い合わせください。

また「住居確保給付金」という別の制度を利用できる可能性もあります。

④扶養義務があるのはどの範囲までですか?叔父、叔母は含まれますか?

扶養義務があるのは、原則として「直系血族」「兄弟姉妹」「配偶者」です。
直系血族とは親や祖父母、子・孫のことですね。

ただし該当する方を頼れない状況ならば、例外として三親等(叔父・叔母など)が扶養の義務を課される場合もあります。

★扶養義務を持つ方が、何らかの事情で援助を断ることは可能です。
ただし裁判所が扶養義務を認めた場合は、その限りではありません。

⑤生活保護の受給中に親戚や友達からお金を借りた場合、どうなりますか?

臨時収入としての申告を求められることになります。

生活保護とクレジットカード、カードローンの関係について

生活保護とクレジットカード、カードローンの関係について

ここからは参考情報として、生活保護と各「後払い」のサービスについての関係をお話していきます。

①生活保護受給中のクレジットカードの利用は原則として「おすすめできない」

生活保護を受給している状態での「クレジットカード」の利用は、不可能ではないもののおすすめはできません

理由は簡単で、クレジットカードを含む「後払い」の利用は臨時の「収入」と見なされるためです。

生活保護法は 「その利用し得る資産,能力その他あらゆる,もの」及び「その者の金銭又は物品」について特に限定をしておらず,将来返済が予定されている借入金についても,当該借入れによって,被保護者の最低限度の生活を維持するために活用可能な資産は増加するのであるから,保護受給中に被保護者が借入れをした場合,これを原則として収入認定の対象とすべきである。

(中略)

クレジットを利用した購入物品についても,将来,立替金の弁済が予定されているとはいえ,借入金同様,被保護者が活用可能な資産が増加することに変わりはなく,他方,上記物品を一切収入と認めないのであれば,前記アと同様の不合理な結果となることは明らかであるから,これらを収入認定の対象とすべきではないとの原告の主張は採用できない。

「札幌地判平成20年02月04日(社会福祉判例)」より

実際には収入が発生していないにもかかわらず「収入」扱いと見なされることは、生活保護費の減額にも繋がります。

そのため生活保護の受給中のクレジットカードの利用は、おすすめできないと言えるでしょう。

★使った瞬間に利用額が引き落とされる「デビットカード」(無審査)であれば、生活保護の受給中であっても利用することができます。

デビットカードとは
2022.09.02

②ただしケースワーカーとの相談により認められることも

生活保護の受給中に、クレジットカードを利用することはお勧めできません。

ただしケースワーカーの相談によっては例外が認められることもあります

もっとも,上記のように補足性の原則を貫徹し,生活保護世帯に対する金銭給付等のすべてを収入として認定することは,生活保護法の目的である自立助長の観点から,あるいは社会通念上適当でない場合も生じ得るところである。

「札幌地判平成20年02月04日(社会福祉判例)」より

特に休職中の方や働いている方などであれば、相談によりクレジットカードを持つことを認められることもあるようですね。

③お金を借りたい場合でも、カードローンなどの利用は「収入」扱いとなってしまう

先の判例にも記載の通り、カードローン等の利用も活用可能な資産が増える「収入」と見なされるため、保護の変更や停止に繋がります。

④状況によっては「生活福祉資金貸付制度」などでお金を借りれることはある

原則として「お金を借りる」ことのできない生活保護の受給者ではありますが、やむを得ない事情があるのなら「生活福祉資金貸付制度」などの行政支援を利用できる可能性があります。

この当たりの対応も自治体によって異なる可能性があるため、まずは担当のケースワーカーにご相談ください。

ちなみに通常の医療費や介護費は全額給付の対象となるため、病院の窓口などで生活保護受給者が清算をする必要はありません
生活保護受給者証(専用の保険証のようなもの)を提示することで、支払いは免除されます。

⑤生活保護を受ける場合、今持っているクレジットカードはどうなる?

自己破産などを起こさない限り、そのまま保持することができます。
「使っていないクレジットカードそのものには」資産価値がないためです。

カードが年会費無料のもの、かつ生活保護から短期間で脱出したいとお考えなら、カードの所持を続けても良いでしょう。

ただし先述の通り、クレジットカードを利用することは保護費に影響を及ぼすため、おすすめできかねます。

⑥借金がある状態でも生活保護を受けられる?

借金やあなたの置かれた状況によっても異なりますが、最初の相談の際に自己破産を求められることもあるようです。

経済状況や自治体の対応によって異なるため、まずは対応窓口で相談することをお勧めします。

生活保護の受給や金額についてのまとめ

生活保護の受給や金額についてのまとめ

ポイント
  • 生活保護は、世帯収入が国の定める保護基準を下回っている場合に受けられる可能性がある
  • 「保護基準となる最低生活費」は家族構成や居住地、障害者や児童の有無などによって変動する
  • 生活保護の申請窓口は自治体によって異なるため、まずは「(お住まいの地区町村名) 生活保護」などで検索し、問い合わせ先を確認しよう
  • 生活保護の受給中は「活用可能な資産が増える」ことそのものが「収入」として扱われる。
    受給中はクレジットカードやローンを利用しないようにしよう

生活保護の受給はすべての日本国民に保障された権利ではあるものの、窓口の対応は市区町村や地区担当員によって異なります。

現状を改善したいとお考えなら、まずは可能な限り自分の現状を把握した上で、お住まいの自治体の窓口に相談をしてみると良いでしょう。



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