あなたの「分割払い」や「リボ払い」の上限額は、包括支払可能見込額に応じて決定します。
今回はそもそも「包括支払可能見込額」とは何なのか、いつ・どうやって計算されるのかを中心に、分かりやすくまとめました。
包括支払可能見込額とは?
そもそも「包括支払可能見込額」とは一体何なのでしょうか。分かりやすく解説していきます。
①包括支払可能見込額とは「1年間にクレジット債務の支払が可能と見込まれる金額」のこと
支払可能見込額とは、簡単に言うと「1年間に支払いが可能と思われる、2回以上の後払いサービスのための負担額」を言います。
例えば支払可能見込額が100万円の方なら、1年間に最大100万円分の「後払い」の支払いが可能と見込まれているわけですね。
包括支払可能見込額とは、そのうち分割払いやリボ払いといった「包括クレジット」に適用される支払可能見込額のことです。これは、支払可能見込額の90%と定められています。
支払可能見込額が100万円の方であれば、分割払いやリボ払いの利用可能枠(包括支払可能見込額)は最大で90万円となります。
★特定の商品の購入のために使われる「個別クレジット」であれば、支払可能見込額の100%までの契約が可能です。
CHECK2.包括支払可能見込額の計算方法
②対象となるのはリボ払い、分割払い、ボーナス払いなどで1回払いは含まれない
包括支払可能見込額は「割賦販売法」によって定められています。
「割賦販売法」とは、2ヶ月以上を要する支払いに適用される法律ですね。
そのため包括支払可能見込額と関係するのは分割払いやリボ払い、ボーナス払いなどであり、1回払いは対象となりません。
包括支払可能見込額が90万円でも、一回払いであれば150万円の支払いが認められます。
③包括支払可能見込額を超えるリボ払い・分割払いは禁止されている
カード会社は、個人に対し支払可能見込額を超える「リボ払い」や「分割払い」の利用可能枠を与えることを禁じられています。
そのため私たちのリボ払いや分割払いの利用可能枠は、包括支払可能見込額を上限としてカード会社が決定する形となります。
★分割払いやリボ払いの利用可能枠は、通常のショッピング利用可能枠とは別に設定されています。
例:ショッピング枠100万円に対し、リボ払い利用可能枠は50万円
あなたの利用可能枠は、カード会社の会員ページなどで確認することができるでしょう。
④調査は「新規ご入会」「増枠」「更新カードを発行」の際に実施される
包括支払可能見込額は、主にカードの「新規ご入会」「増額」「更新カードの発行」といった、各審査のタイミングで算定されます。
このとき支払い能力が上がっていればリボ払いや分割払いの利用可能枠が引き上げられる可能性があります。その逆の場合も同様ですね。
★ただし実際のところは、上に挙げたタイミング以外であっても利用可能枠が増減することがあります。
これはカードの利用可能枠が、法律上の上限である包括支払可能見込額のみによって決まっているわけではないためです。
包括支払可能見込額の計算方法
リボ払いや分割払いに適用される、包括支払可能見込額の計算方法は以下の通りです。
-1年間の「後払い」請求予定額
(個別クレジット、包括クレジット)
-法律で定められた生活維持費※)
×0.9
住宅ローンまたは賃貸の負担なし | 住宅ローンまたは賃貸の負担あり | |
---|---|---|
世帯人数 1人 | 90万円 | 116万円 |
2人 | 136万円 | 177万円 |
3人 | 169万円 | 209万円 |
4人以上 | 200万円 | 240万円 |
一例を挙げると以下のようになります。
- 年収500万円
- 1年間の「後払い」請求予定額は50万円
(自動車ローン、ショッピングリボなどの合計額) - 3人暮らし
計算結果
(500万ー50万ー169万円)×0.9
=216.9万円
この年収500万円の方の場合だと、包括支払可能見込額は216万9000円となります。
これを超える、リボ払いや分割払いの利用可能枠を獲得することはできません。
★先述の通り一回払いは割賦販売法の対象外ですので、この制限に含まれません。
そのためカードのショッピング利用可能枠自体は、包括支払い可能見込額を超える場合があります。
包括支払可能見込額を引き上げる方法
ここからは、包括支払可能見込額を引き上げてリボ払いや分割払いの利用可能枠を増額する方法についてお話していきます。
①他社のクレジット債務を減らす
包括支払可能見込額を増やす上で、最もシンプルな方法は「他社のクレジット債務を減らす」ことです。
リボ払いや分割払いの利用可能枠の増額を希望する場合、カード会社により審査が行われます。
審査では、個人信用情報機関を通じて、あなたの1年間のクレジット代金支払い予定額が確認されます。
この時に、他社のクレジット債務を含め、2ヶ月以上にわたる後払いの年間負担額が大きいほど、包括支払可能見込額は小さくなってしまいます。
例えば同じ「年収500万円、3人暮らしで家賃負担あり」という方であっても、「後払い」請求予定額が100万円なら包括支払可能見込額は171.9万円にとなるのに対し、「後払い」請求予定額が10万円であれば包括支払可能見込額は252.9万円となります。
②可能であれば年収を増やす
包括支払可能見込額は年収を基準として計算されます。
そのためカード会社に申告できる年収を増やすことができれば、それに伴い包括支払可能見込額も増えることでしょう。
★原則としてカードを作る際に収入証明書の提出は必要ありませんが、50万円を超えるキャッシング枠を付帯させたい場合などには源泉徴収票などの提出を要求されます。
③ご利用可能枠は、利用実績を積むことで引き上げられることも
包括支払可能見込額はあくまで「法律で許された、最大の利用可能枠」のことであり、実際に適用される利用可能枠は包括支払可能見込額を下回ることが一般的です。
つまりカード会社は包括支払可能見込額をあくまで「上限」として、独自の基準で利用可能枠を設定しているということですね。
そのため元の利用可能枠が包括支払可能見込額よりも低いのであれば、カード会社で利用実績を積み、信頼を得て利用可能枠を引き上げられることもあるでしょう。
カードの利用可能枠を引き上げるには増額審査に通る必要があります。
この増額審査は一般に、カード会社のインターネットサービスなどを通して申し込みが可能です。
クレジット会社の「途上与信」について
クレジット会社は定期的に、「途上与信」と呼ばれる入会後の審査を行っています。
増額審査を受けていなくても、知らないうちにカードの利用可能枠が増えていたり下がっていたりすることがあるのは、この「途上与信」のためですね。
カード会社と取引を続け、信頼を得ることができれば包括支払可能見込額に変化がなくても利用可能枠を引き上げてもらえることは珍しくありません。
ただしその反対に、支払い能力が下がったと見なされた場合には、利用可能枠の引き下げやカードの停止といった対応が取られる場合もあります。
包括支払可能見込額とその調査・設定についてのまとめ
- 包括支払可能見込額とは分割払いやリボ払いといった「包括クレジット」の利用可能枠の上限額を言う
- 包括支払可能見込額は年収と「1年間の後払いの請求予定額」、法定の生活維持費によって決定する
- 年収を増やしたり、他社のクレジット債務を減らせば包括支払可能見込額の引き上げ(=リボ払いや分割払いの利用可能枠の引き上げ)に期待できる
- 包括支払可能見込額はあくまで法定の上限額であり、実際の利用可能枠はカード会社の判断で決まる。
そのため包括支払可能見込額にかかわらず、「利用実績を積む」ことで増額を受けられることも多い
包括支払可能見込額はリボ払い・分割払いの利用可能枠の目安にはなるものの、実際に枠を決定するのはカード会社です。
できる限り大きなリボ払い・分割払いの利用可能枠がほしいという場合には、「他社の債務を減らす」「カード会社での利用実績を積む」ことを心がけられると良いですね。