「利息の計算方法って実はよくわからないんだよな……。
この預金に預けたらいくら利息がつくんだろう?」
利息の計算方法は預金の種類によってさまざま。計算式が複雑なものもあります。
しかし、実は「大体」で計算してもかなり正確な利息を計算できます。
金利0.01%の一般的な定期預金に100万円預けても、利息は100円と控えめであるためです。
計算が100万円分ずれても利息は100円しかずれません。
このページでは便利な概算方法に加え、複利や積立といった複雑な利息計算も解説していきます。
読み終えていただければ、金利を一目見ただけで利息が大体何円になるか分かるようになりますよ。
また、住宅ローンなどの「利子」も同じように計算できます。
利子を計算したいときにも、ぜひ参考にしてください。
※本記事では分かりやすさを優先し、税引前の金利・利息を表示しています。
実際には全ての利息に所得税・復興特別所得税・地方税合計20.315%の税金がかかります。
予めご了承ください。
★税引後の利息の計算式
例)記事内で1万円の利息がもらえると書いてあった場合の実際に貰える金額
1万円×(1-20.315%)
=7968.5円
目次
利息の計算方法は預金の種類によって違う!「単利」「複利」「積立」の3パターンを区別しよう
利息の計算式は3種類あります。
(受け取る利息)=(元金)×(100%+金利÷2)(利息の追加された回数)ー(元金)
(受け取る利息)=(1回に積み立てる金額)×(金利)×(積立回数)×(積立回数+1)÷24
①「単利」と「複利」は利息の計算方法
「単利」と「複利」は利息の計算方法です。
商品概要説明書の「利息の計算方法」欄を見れば、その預金が「単利」なのか「複利」なのか分かることが多いです。
「単利」はオーソドックスな利息の計算方法で「預けたお金」にのみ利息がつきます。
一方で「複利」は「預けたお金」と「預けたお金についた利息」の両方に利息がつきます。
例えば、100万円預け1年間で1万円の利息がついた場合、2年目には101万円分の利息が貰えるということです。
利息は必ず「単利」か「複利」で計算され、同じ金利ならば単利よりも複利の方が利息が多くなります。
②「積立」は少しずつお金を預けて貯めていく「積立定期預金」のこと
「積立」は預金の種類です。
少しずつお金を預けて貯めていく「積立定期預金」のことを指します。
預けているお金が少しずつ増えていくため、利息も少しずつ増えていくのが特徴です。
預金期間 | 総積立額 | 直前1カ月間で増えた利息 | 合計利息 |
---|---|---|---|
0日 | 1万円 | 0円 | 0円 |
1カ月 | 2万円 | 0.083円 | 0.083円 |
2カ月 | 3万円 | 0.167円 | 0.25円 |
3カ月 | 4万円 | 0.25円 | 0.5円 |
4カ月 | 5万円 | 0.333円 | 0.833円 |
5カ月 | 6万円 | 0.417円 | 1.25円 |
6カ月 | 7万円 | 0.5円 | 1.75円 |
7カ月 | 8万円 | 0.583円 | 2.333円 |
8カ月 | 9万円 | 0.667円 | 3円 |
9カ月 | 10万円 | 0.75円 | 3.75円 |
10カ月 | 11万円 | 0.833円 | 4.583円 |
11カ月 | 12万円 | 0.917円 | 5.5円 |
12カ月 | 12万円 | 1円 | 6.5円 |
少しずつ増える利息の額を考慮して計算しなければならないため「単利」や「複利」とは異なる計算式になります。
利息を計算するときには、それぞれで適切な計算式を使うことが大事です。
CHECK「単利」の計算方法
CHECK「複利」の計算方法
CHECK「積立」の計算方法
「単利」預金の利息計算方法!基本になる計算式
「単利」の計算式は利息・利子計算の基本式です。
定期預金では「単利」で利息を計算することが多く、最初に覚えるべき計算と言えるでしょう。
計算式と実際の計算例を順に見ていきます。
①単利で計算する預金の利息計算方法。金利に元金と預ける年数をかけるだけ
単利で利息を計算するときの計算式は以下の通りです。
「金利」とは「1年間お金を預けたときに貰える利息の割合」です。
つまり、金利1%なら1年後に預けたお金の1%が利息として貰えます。
100万円預けていれば、1%は1万円なので1万円の利息が貰えるという訳ですね。
1年以上お金を預けていた場合、その年数分利息を貰えます。
例えば、2年間預けていれば貰える利息は1年預けていた場合の2倍です。
逆に、預ける期間が1年未満ならば貰える利息はその分少なくなります。
例えば、半年しか預けられなかった場合、貰える利息は1年間預けた場合の半分です。
「半年預けた=0.5年間預けた」と考えれば、貰える利息が0.5倍になったとも言えますね。
②【具体例】実際に計算式を使って利息を計算
前の項目で紹介した積立定期預金の利息計算式を用いて実際に利息を計算していきます。
金利0.08%の積立定期預金に預けたとして利息を計算してみましょう。
(1)金利0.08%の積立定期預金に1万円を12回積み立てた場合
イオン銀行の積立定期預金に1万円ずつ12回、計12万円を1年かけて積み立てた場合の利息を計算します。
=100万円×0.01%×1年間
=100円
貰える利息は100円。
100万円を金利0.01%の預金に1年間預けたので、100万円の0.01%が利息として貰えたのですね。
預けた年数が1年の計算は、計算の最後の部分が必ず「×1」になるため計算が楽です。
(2)金利0.01%の定期預金に200万円を1年間預けた場合
今度は先ほどの2倍の金額、200万円を1年間預けてみます。
=200万円×0.01%×1年間
=200円
この場合、貰える利息は先ほどの2倍である200円。
単利の利息計算式にはかけ算しか使われていないため、預ける金額が2倍になると利息も2倍になる関係性があります。
(3)三菱UFJ銀行の定期預金に100万円を半年間預けた場合
では、今度は預金額をもとの100万円に戻して預金期間を半分の半年にしてみましょう。
=100万円×0.01%×0.5年間
=50円
この場合、貰える利息は「例1」での利息100円の半分、50円。
預ける期間が半分になったので、貰える利息も半分になってしまいました。
(4)金利0.01%の期預金に100万円を1か月間預けた場合
次はさらに短い期間、1カ月間だけお金を預けてみしょう。
=100万円×0.01%×(1/12)年間
=約8円
「1カ月間」は年単位で考えると「1/12年間」です。
そのため「×(預けた年数)」の箇所は「×1/12」という計算になります。
「×1/12」ではなく「÷12」と考えても良いですね。
「1カ月は1/12年」と換算して考えることで中途半端な預入期間でも利息を計算することができますよ。
(5)金利0.02%の定期預金に100万円を1年間預けた場合
最後に、預ける銀行を変えて利息を計算してみましょう。
金利0.02%の定期預金に100万円を1年間預けてみます。
=100万円×0.02%×1年間
=200円
今まで0.01%としていた箇所を0.02%に変えて計算すれば利息を求められます。
金利が2倍になったので利息も2倍になっていますね。
金利が高いほど利息が多くなるため、定期預金では高金利のものを狙うのがおすすめです。
0.01%は100万円預けて1年で100円貰える金利!概算で利息を計算するのがおすすめ!
ここまで「単利での利息計算式」を使ってさまざまな利息を計算してきましたが、実はもっと簡単に計算する方法があります。
それは「0.01%の預金に100万円預けたら1年で100円貰える」など、ひとつだけ計算結果を覚えておき、都度〇〇倍して利息を概算する方法です。
「0.01%の預金に100万円預けたら1年で100円貰える」をもとにさまざまな利息を計算してみましょう。
金利0.1%の預金に100万円を1年間預けた場合の利息を計算します。
この場合、金利のみ10倍になっているので貰える利息は100円の10倍、1000円です。
覚えている数値 | 何倍したか | 今回計算したい数値 | |
---|---|---|---|
金利 | 0.01% | 10倍 | 0.1% |
預けた金額 | 100万円 | 1倍 | 100万円 |
預けた年数 | 1年間 | 1倍 | 1年間 |
利息 | 100円 | 10倍 ×1倍 ×1倍 =10倍 | 1000円 |
複数個所が一度に変わっても楽に計算できます。
金利0.02%の預金に300万円を半年間預けたときの利息を計算してみましょう。
覚えている数値 | 何倍したか | 今回計算したい数値 | |
---|---|---|---|
金利 | 0.01% | 2倍 | 0.02% |
預けた金額 | 100万円 | 3倍 | 300万円 |
預けた年数 | 1年間 | 0.5倍 | 半年間 |
利息 | 100円 | 2倍×3倍×0.5倍=3倍 | 300円 |
金利、預入金額、預入期間がそれぞれ2倍、3倍、0.5倍となったため、最終的に貰える利息は300円です。
このように「0.01%の預金に100万円預けたら1年で100円貰える」とひとつパターンを覚えておけば簡単な計算で利息を求めることができます。
私はよくこの計算を使って「この預金は金利0.08%か。100万円預ければ利息は1年で8倍の800円……割と高金利だな」と計算しています。
「金利0.1%なら割と簡単に利息1000円になるから預けてみようかな」
といった風に、金利の高さを吟味する際ぜひ試してみてください。
「複利」預金の利息計算方法!複利で増えた額を考慮して計算する
続いて、「複利」での利息計算式を紹介します。
「複利」は利息が「預けたお金」と「預けたお金についた利息」につく利息の計算方法です。
利息のかかる金額がどんどん増えていくため、同じ利率ならば「単利」よりも利息が増えやすくなっています。
そんな「複利」での利息計算式と実際の計算例を見ていきましょう。
①複利で計算する預金の利息計算方法。利息が増える回数だけ〇乗する
複利での利息計算式は利息を元金に加える間隔によって何種類か作ることができます。
まずは「半年複利」と呼ばれる半年ごとに利息を元金へ加える預金での利息計算式を見てみましょう。
半年複利での利息は元金に「100%+金利÷2」の「利息の追加された回数」乗かけ、元金を引いて求めることができます。
このような式になる理由を半年複利計算の具体例を使って説明しましょう。
金利1%の半年複利預金に100万円を2年間預けた場合、利息の増え方は以下のようになります。
経過期間 | 元金 | 利息 |
---|---|---|
0日 | 100万円 | 0円 |
6カ月 | 100万5000円 | 5000円 |
1年 | 101万25円 | 5025円 |
1年6カ月 | 101万5075円 | 5050円 |
2年 | 102万150円 | 5075円 |
6カ月目の利息「5000円」はまだ利息の追加が行われていない(=単利計算と同じ状況)ので、単利計算と同じ式を使って求めます。
100万円×1%×0.5年間、と計算して利息は5000円ですね。
この利息はすぐに「元金」へ追加され、次の6カ月は「100万5000円」を元金として利息を計算します。
さて、この元金100万5000円は下のように書き換えることもできます。
この式で「100万5000円」は6カ月経過時点での「元金」です。
一方、「100万円」は0日目での「元金」です。
このことから「元金」の欄はひとつ下へいく度「100%+1%÷2」をかければ計算できることが分かります。
この計算を使って先ほどの表を書き換えてみましょう。
経過期間 | 元金 | 利息 |
---|---|---|
0日 | 100万円 | 0円 |
6カ月 | 100万円×(100%+1%÷2) | 5000円 |
1年 | 100万円×(100%+1%÷2)2 | 5025円 |
1年6カ月 | 100万円×(100%+1%÷2)3 | 5050円 |
2年 | 100万円×(100%+1%÷2)4 | 5075円 |
「元金」の欄は下へいく度「100%+1%÷2」をかけていくので、1年目以降は「100%+1%÷2」の〇乗が出てきます。
最終的な利息は「100%+1%÷2」を4回かけるので「100万円×(100%+1%÷2)4」です。
ただし、この計算では最初の元金100万円が利息に含まれてしまっています。
純粋な利息を求める際には最初の元金100万円を引きましょう。
-100万円
=2万150円
この式の数字を言葉で書き換えていきます。
100万円は「元金」、1%は「金利」といった具合です。
-100万円
=(元金)×(100%+金利÷2)
(利息の追加された回数)) -(元金)
この文字で置き換えた式が半年複利の利息計算式です。
この項目のはじめに紹介した式と一致していますね。
複利の計算式は利息を元金に追加するタイミングによって式が変わります。
もうひとつ、例として「毎月複利」の利息計算式を見てみましょう。
半年複利の計算式から変わったのは、金利を2で割るか12で割るかのみ。
半年複利の「÷2」は0.5年ごとに利息を計算する点から来ていたので、毎月利息を計算する毎月複利では「÷12」となるのです。
割る数が増えているため毎月複利は半年複利よりも損をしているように見えますが、実際は毎月複利の方がおトクです。
割る数が増えたこと以上に利息の追加される回数が増えた効果が大きいのです。
②【具体例】実際に計算式を使って利息を計算
実際に式を使って複利での利息を確認してみましょう。
(1)金利0.02%の定期預金に100万円を3年間預けた場合
まず「金利一律0.02%、預入期間3年以上で半年複利」の定期預金にお金を預けたとして計算してみます。
半年複利で3年間預けた場合「利息の追加される回数」は6回になります。
そのことを踏まえて利息を計算してみましょう。
(利息の追加された回数))ー(元金)
=100万円×(100%+0.02%÷2)
6回 -100万円
=100万円×(100.01%)6回 -100万円
=100万600.15円 -100万円
=600.15円
この場合の利息は600.15円。
つまり、ほぼ600円です。
では、ここでこの預金が「単利」だった場合の利息も計算してみましょう。
=100万円×0.02%×3年間
=600円
なんと、単利で計算した場合でもほぼ同じ利息が出てきました。
半年複利にしたことで増えた利息はわずか0.15円と1円にもなりません。
複利にすることで単利よりも利息が多くなるのですが、現在の定期預金金利は低いため効果を実感しづらいのです。
今度は効果を実感しやすいように架空の高金利預金で考えてみましょう。
(2)半年複利金利1%の預金に100万円を3年間預けた場合
先ほどの50倍、半年複利金利1%の預金に100万円を3年間預けたときの利息を計算してみましょう。
(利息の追加された回数)-(元金)
=100万円×(100%+1%÷2)6回 -100万円
=100万円×(100.5%)6回 -100万円
=103万377円 -100万円
=3万377円
この場合の利息は3万377円。
先ほどと同じように「単利」だった場合の利息も計算してみましょう。
=100万円×1%×3年間
=3万円
単利だった場合の利息は3万円。
半年複利で計算した場合、利息が3万377円になるため「複利」のおかげで377円利息が増えたと言えます。
あまり大きな増分ではありませんが、金利1%もあれば「複利」の効果を実感できますね。
(3)毎月複利金利1%の預金に100万円を3年間預けた場合
最後に、半年複利と毎月複利でどれだけ利息が変わるか計算してみましょう。
毎月複利で3年間預けた場合「利息の追加される回数」は36回になります。
(利息の追加された回数)-(元金)
=100万円×(100%+1%÷12)
36回 -100万円
=100万円×(100.083%)36回-100万円
=103万441円 -100万円
=3万441円
毎月複利で計算した場合、利息は3万441円。
半年複利で計算した場合の利息は3万377円だったため、64円利息が増えています。
小さな差ではありますが、確かに半年複利よりも毎月複利の方が多く利息を貰えていますね。
利息を増やしたい場合は、利息が元金に追加される間隔が短いものを選ぶと良いでしょう。
「積立」定期預金の利息計算方法!増える預金額を考慮して計算
最後に「積立」定期預金の利息計算方法を紹介します。
積立定期預金は少しずつお金を預けていく貯金箱のような定期預金です。
「預けた金額」が少しずつ増えていくため、利息を計算しづらいという特徴があります。
また、少しずつ預金額を増やしていく関係上、最終的な利息は「単利」の約半分となってしまうケースがほとんど。
利息を目当てとして使うには少し使いにくい預金と言えるでしょう。
計算がやや複雑な積立定期預金の利息計算方法について見ていきます。
①積立定期預金の利息計算方法。単利で預けた場合の約半分の利息がつく
積立定期預金の利息計算式は積み立て間隔によって異なります。
まずはオーソドックスな毎月積立定期預金の利息計算式を見てみましょう。
毎月積立定期預金の利息は「1回に積み立てる金額」に金利、積立回数、積立回数+1をかけ、24で割ったものになります。
この式は以下のような計算を行うことで導かれます。
(受け取る利息)
=
=mrN(N+1)/24
=(1回に積み立てる金額)×(金利)×(積立回数)×(積立回数+1)÷24
このような計算をする理由は以下のように考えると分かりやすいです。
積立定期預金では、毎月預けるお金が増えていきます。
預けている金額が増えれば利息も増えますね。
預金期間 | 総積立額 | 直前1カ月間で増えた利息 |
---|---|---|
0日 | 1万円 | 0円 |
1カ月 | 2万円 | 0.667円 |
2カ月 | 3万円 | 1.33円 |
3カ月 | 4万円 | 2円 |
4カ月 | 5万円 | 2.67円 |
5カ月 | 6万円 | 3.33円 |
6カ月 | 7万円 | 4円 |
7カ月 | 8万円 | 4.67円 |
8カ月 | 9万円 | 5.33円 |
9カ月 | 10万円 | 6円 |
10カ月 | 11万円 | 6.67円 |
11カ月 | 12万円 | 7.33円 |
12カ月 | 12万円 | 8円 |
預け始めた日は利息0円ですが、次の月には最初に預けた1万円の利息(上の例なら0.667円)がつきます。
そして、次の月には預けている金額が2倍の2万円に増えているので利息も2倍になるのです。
この毎月増えていく「利息」を月ごとに並べてみるとしましょう。
棒の長さはそれぞれの月で増えた利息の金額です。
最初の月は預けたばかりなので利息0円(棒の高さが0)ですが、少しずつ利息が増えていっていますね。
さて、この利息の合計金額を求めてみましょう。
少しカクカクしていますが、利息の図は三角形に似た形をしています。
そこで、三角形の面積を求める要領で利息の合計金額を計算していきます。
まず、この三角形の高さを求めます。
三角形の高さは棒の高さを使えばよいですね。
1番高い棒の高さ(1番多く利息がついた月の利息額)を求めていきましょう。
最後の月になれば、お金はもう預け切っています。
つまり、預金額は「(1回に積み立てる金額)×(積立回数)」になるということですね。
そして、その最も預金額の多い状態で預けていた期間は1カ月のみです。
つまり、1/12年間預けていたわけなので、利息の式には「÷12」が含まれます。
よって、図の三角形の高さは以下のようになります。
三角形の高さを求められたら、今度は底辺を求めましょう。
底辺の長さは並んでいる棒の本数です。
1回積み立てるごとに1本棒が立つので、立っている棒の本数は「積立回数」本ですね。
ただし、最初の月に高さ0で目には見えない棒が1本立っています。
そのため、実際には底辺の長さは「積立回数+1」となります。
三角形の面積は(底辺)×(高さ)÷2で求めることができます。
求めた値を入れて計算してみましょう。
=(積立回数+1)×(1回に積み立てる金額)×(積立回数)×(金利)÷12 ÷2
=(1回に積み立てる金額)×(金利)×(積立回数)×(積立回数+1)÷24
無事、項目のはじめに紹介した式を導けました。
一見ふしぎな見た目の式ですが、三角形の面積だと考えれば少し意味が分かる気がしますね。
さて、ここでこの毎月積立定期預金の計算式と「単利」の利息計算式を比較してみましょう。
比較しやすいように「単利」の式を毎月積立定期預金の表式に変形していきます。
まず、「元金」は「(1回に積み立てる金額)×(積立回数)」と書き換えられます。
「預けた年数」は「積立回数÷12」です。
例えば毎月積立24回積み立てる場合、最初に預けたお金は2年間預けられていることになります。
これらの変形を用いて単利の式を書き直すと、以下のようになります。
=(1回に積み立てる金額)×(金利)×(積立回数)×(積立回数)÷12
この式と積立での利息計算式を比較してみましょう。
積立 | 単利 |
---|---|
(1回に積み立てる金額)×(金利)×(積立回数)×(積立回数+1)÷24 | (1回に積み立てる金額)×(金利)×(積立回数)×(積立回数)÷12 |
比較してみると、このふたつは「(1回に積み立てる金額)×(金利)×(積立回数)」まで同じ形の式だと分かります。
つまり、2つの式の違いは「(積立回数+1)÷24」と「(積立回数)÷12」の部分のみなのです。
では、この部分のみで比較してみると「積立回数+1」と「積立回数」はほぼ同じものだと分かります。
積立回数が「24」でも「25」でもほとんど変わりませんよね。
そこで、「積立回数+1」と「積立回数」の部分までこの式はほぼ同じと見なしてしまいましょう。
そうすると、このふたつの式の違いは「÷24」と「÷12」のみとなります。
24で割るか12で割るかの違いなので、このふたつの式には2倍の違いがあると分かりますね。
また、この2倍の違いは先ほど使った三角形のイメージで考えても成り立っています。
「単利」は預けている金額が変わらないため、毎月の利息を並べると三角形にはならず四角形になります。
そして、今回は預金期間と総預金金額を揃えて比較しているため三角形と四角形の底辺と高さは同じです。
四角形の面積は「縦(高さ)×横(底辺)」で求められますね。
一方、三角形の面積は「底辺×高さ÷2」なので、やはり2倍の差があります。
単利が表しているのは大きい四角形だったため、これは「単利」の方が「積立」よりも2倍利息が貰えることを示しています。
逆に言えば、最終的に預けた金額で比較すれば積立定期預金は単利の約半分しか利息をもらえません。
少しずつお金を預ける必要がない場合は、積立定期預金ではなく普通の定期預金などを選んだ方がおトクでしょう。
最後に、毎月積立定期預金以外の積立定期預金の式も確認しておきます。
積立定期預金は積立周期によって無数に式を作ることができます。
そこで、毎月積立定期預金の次にオーソドックスな半年積立定期預金の式を例示しましょう。
この式は以下の計算から導かれます。
(受け取る利息)
=
=mrN(N+1)/4
=(1回に積み立てる金額)×(金利)×(積立回数)×(積立回数+1)÷4
こちらの式も次の項目で実際に使って、本当に正しい式かどうかを確認していきます。
②【具体例】実際に計算式を使って利息を計算
前の項目で紹介した積立定期預金の利息計算式を用いて実際に利息を計算していきます。
イオン銀行の積立定期預金に預けたとして利息を計算してみましょう。
イオン銀行 | 一律0.08% |
---|
(1)イオン銀行の積立定期預金に1万円を12回積み立てた場合
イオン銀行の積立定期預金に1万円ずつ12回、計12万円を1年かけて積み立てた場合の利息を計算します。
=1万円×0.08%×12回×(12+1)回÷24
=1万円×0.08%×12回×13回÷24
=52円
この場合、利息は52円になるという計算結果が出てきました。
この計算は本当に正しいのでしょうか、計算式を使わずに利息を求めて確認してみます。
預金期間 | 総積立額 | 直前1カ月間で増えた利息 | 合計利息 |
---|---|---|---|
0日 | 1万円 | 0円 | 0円 |
1カ月 | 2万円 | 0.667円 | 0.667円 |
2カ月 | 3万円 | 1.33円 | 2円 |
3カ月 | 4万円 | 2円 | 4円 |
4カ月 | 5万円 | 2.67円 | 6.67円 |
5カ月 | 6万円 | 3.33円 | 10円 |
6カ月 | 7万円 | 4円 | 14円 |
7カ月 | 8万円 | 4.67円 | 18.7円 |
8カ月 | 9万円 | 5.33円 | 24円 |
9カ月 | 10万円 | 6円 | 30円 |
10カ月 | 11万円 | 6.67円 | 36.7円 |
11カ月 | 12万円 | 7.33円 | 44円 |
12カ月 | 12万円 | 8円 | 52円 |
まず最初に預けた1万円には1カ月間で「1万円×0.08%÷12=0.667円」の利息がつきます。
次の1カ月は預けている金額が2万円に増えるので、新たに発生する利息は「2万円×0.08%÷12=1.33円」です。
よって、2カ月経過した時点での利息はこのふたつを足して「0.667円+1.33円=2円」となります。
同様の計算を12カ月目まで続けることで、最終的に利息を52円貰えることが分かります。
先ほど計算式で求めた利息52円と一致していますね。
手計算と比較した結果、この計算式は正しい答えを求められる式だと確かめられました。
(2)金利0.08%の半年積立定期預金に6万円を2回積み立てた場合
では同じ金利の半年積立定期預金があるとして、同じく12万円を1年かけて積み立てるとしましょう。
この場合、1回の積立金額は6万円、積立回数は2回になります。
=6万円×0.08%×2回×(2+1)回÷4
=6万円×0.08%×2回×3回÷4
=72円
この場合の利息は72円。
では、先ほどと同じように利息を手計算して同じになるか確かめてみましょう。
預金期間 | 総積立額 | 直前1カ月間で増えた利息 | 合計利息 |
---|---|---|---|
0日 | 6万円 | 0円 | 0円 |
6カ月 | 12万円 | 24円 | 24円 |
12カ月 | 12万円 | 48円 | 72円 |
まず、最初に預けた6万円には6ヶ月で「6万円×0.08%÷2=24円」の利息がつきます。
次の6カ月間は預金額が12万円に増えるので、次の6カ月間でつく利息は「12万円×0.08%÷2=48円」ですね。
12カ月間の総利息はこのふたつを合わせて72円となります。
先ほどの計算でも72円という利息が出てきていましたね。
半年積立定期預金の利息計算式の結果も、確かに手計算と一致しました。
また、半年積立定期預金の利息は72円と毎月積立定期預金の利息52円より20円も多いです。
この例から分かるように、総積立額が変わらない場合、積立定期預金の利息は積立間隔が長いほど多くなります。
まとめ
- 利息の計算式は「単利」か「複利」か「積立」かで変わる。
- 「単利」はオーソドックスな利息の計算方法。1年間で「元金×金利」だけ利息がつくので、これに預けた年数をかけるだけで利息を求められる。
- 単利の利息は概算で求めるのが楽!「0.01%の預金に100万円を1年間預けたら100円の利息がつく」と、ひとつだけ計算結果を覚えておき、逐次かけ算すれば面倒な%の計算を避けられる。
- 「複利」は「預けたお金」と「預けたお金についた利息」の両方に利息がつく利息の計算方法。増えていく利息を(利息のついた回数)乗すれば利息を求められる。
- 「積立」は少しずつお金を貯めていく定期預金のこと。1回で積み立てる金額や積立回数を使って利息を計算する。最終的に預けた金額で比較すると単利の約半分しか利息を貰えないので、利息目当てなら単利の方が良い。
単利の利息は概算を使うことで電卓も使わず簡単に求めることができます。
「高金利かそうじゃないか」が分かりやすくなるので、ぜひあなたも使ってみてください。