「これまで海外旅行に行くときは必ず外貨を両替してたけど、大金を持ち歩いているのが不安だった。
海外キャッシングが便利だよって聞いたけど、キャッシングってたくさん利息がついて損なんじゃないの?」
海外旅行では、今やかなり多くの場所でクレジットカードを使えるようになりました。
それでも、現地での交通費やちょっとした買い物、チップなど、現金が必要な場面って意外とあるんですよね。
でも、盗難や紛失など、高額な現金を持ち歩くのは不安なものです。
しかも、なくなったら不安だからと多めに両替して現金を余らせてしまったり、気づいたら予定よりずっと出費が多かった、というような経験、ありませんか?
海外キャッシングは、海外のATMで現地通貨を引き出せるサービスです。
ATMの営業時間内なら最大24時間利用可能、必要な分だけ引き出せば使いすぎも防げます。
手数料と利息はかかりますが、上手に使えばかかる費用を抑えることも可能です。
キャッシングというと、「借金、高額」というイメージを持たれがちです。
カード会社からお金を借りる状態ではあるので、高額・長期の利用であれば当然利息は高くなります。
ですが、使い方さえ気を付ければ、安全で経済的な手段にすることができます。
読み終えていただければ、海外キャッシングの基礎知識や返済計画の立て方がわかります。
次の海外旅行は、出費や時間を節約して効率的に楽しめるようになるかもしれません。
海外キャッシングは、外国のATMで現地通貨を引き出せるサービス
クレジットカードの加盟店が年々増加している現代でも、海外へ行くにあたって全く現金を使わずに滞在するのは難しいですよね。
現地通貨を入手する際、多くの方が利用するのが「銀行や空港の外貨両替所」です。
ですが、それに代わる手段として利用されているのが「海外キャッシング」です。
本章では、海外キャッシングの概要から利用方法まで、簡単に説明していきます。
①世界主要都市の空港や銀行などにあるATMで利用できる
海外キャッシングは、国際ブランドのマークがついているATMで利用できます。
以下のような場所に設置されています。
- 銀行のATM
- 銀行内または銀行の外に設置
- 街中の提携ATM
- 空港や駅、ホテルやコンビニ、商業施設などに設置
渡航先が主要都市であれば、ATMは街中を見渡すと多くの場所に設置されていることが分かります。
そのため、思い立ったらすぐに利用することができます。
②必要なものはカードと暗証番号。手続きが必要かはカード会社に確認しよう
海外キャッシングはカードがあれば利用できます。
ですが、一般的なカードはキャッシング枠がないと、海外キャッシングを利用できません。
他にも事前に手続きをしなくてはいけないカードもあるため、必要な手続きはないか、あらかじめカード会社へ確認しておきましょう。
また、ATMの操作には暗証番号の入力が必要です。
普段からタッチ決済やネットショッピングの利用が多いなど、暗証番号を覚えていない場合は確認しておくようにしましょう。
③利用にはATM手数料と利息がかかる
海外キャッシングは、一般的に以下のように、利用ごとに発生するATM手数料と利用額に対する利息がかかります。
- ATM利用時
- ATM手数料
- 利用金額により金額が異なる(消費税等を含む)
◆1万円以下…110円/回
◆1万円超…220円/回
※利用するATMによってはこの他にも手数料が発生することがある
- キャッシング残高の返済時
- 未返済の残高に対する利息(キャッシングの利用日~完済まで)
- 利息の金額は返済日時点での利用残高に対して日割り計算される
- 年利:一般的に15.00~20.00%
なお、カードによってはATM手数料がかからないカードもあります。
そもそもATM手数料は、海外ATMではなくカード会社が取る手数料です。
そのため、この場合はサービスの1つとして、カード会社がATM手数料を負担しているということになります。
④海外キャッシングと外貨両替、かかる費用をシミュレーション
ここからは、海外キャッシングと外貨両替の利用料の差を確認していきましょう。
結論から言うと、海外キャッシングは両替所での外貨両替に比べて以下のような理由でかかる費用の合計額が割安になる傾向があります。
- 銀行・外貨両替所
- 利用日の実勢レートに3%程度の両替手数料を上乗せする
- 海外キャッシング(ATM利用時)
- 利用日の実勢レート+ATM手数料
- 両替手数料はカード会社が負担
このように、銀行や外貨両替所でかかる両替手数料が海外キャッシングではかからないことが大きな理由です。
では、実際に両替所と海外キャッシングで同じ通貨を同じタイミングで交換すると、どれほどかかる費用に差が出るのでしょうか。
下記の表でシミュレーションをしてみましょう。
銀行・両替所 | 海外キャッシング (30日間借り入れの場合) | |
---|---|---|
実勢レート | 42,214円 | 42,214円 |
両替手数料 | 7,076円 | ― |
ATM手数料 | ― | 220円 ※1 |
利息 | ― | 624円 |
合計 | 49,290円 | 43,058円 |
銀行・両替所で支払う手数料は両替手数料の1種類だけです。
海外キャッシングでは2種類の費用がかかりますが、合計しても銀行・両替所より6,232円安くなります。
銀行・両替所の両替手数料は換金額に対して加算されるため、換金額が上がれば手数料も高額になります。
海外キャッシングには両替手数料はかかりません。
そのため、利用回数が多くなく早期に返済できれば、銀行や両替所に比べてかかる費用をぐっと抑えることができます。
なお、手数料が少なくても、レートが高くなれば交換比率は高くなります。
情勢の変化などにより為替の急激な変動が起きた場合、実勢レートは大きく変わることがあります。
海外キャッシングのメリット
ここからは海外キャッシングのメリットについて説明していきます。
①両替所にいく手間が省ける
海外キャッシングが利用できるATMは主要都市の人が集まるところなら色々な所にあるため、場所を探す手間が大幅に省けます。
ATM手数料もほぼ変わらないので、安い場所を探す必要もありません。
「いざ両替所を見つけたと思ったら営業時間外で、急遽あいている別の両替所を探すことになった!」
これもまた、両替所の利用でよくある困ったエピソードですよね。
利用するATMにもよりますが、海外キャッシングはATMの営業時間内ならいつでも利用可能です。
24時間営業のATMなら朝でも夜でも、必要な時に現金を引き出すことができます。
②現地で大金を持ち歩かなくてもいいので安心
外国滞在中一番気を付けたいのが貴重品の紛失です。
スリや置き引きなどの盗難だけでなく、非日常の環境下では不注意による紛失も起こりがちです。
カードや貴重品の中には、なくなっても再発行が可能な物や保険の補償が受けられるものがありますが、現金はなくなっても戻ってきません。
そのため、海外旅行では「多すぎる現金を持ち歩かない」ことが大切です。
「持ち歩く量は必要な分だけとし、足りなくなった分を引き出す」ことで、もしもの時の被害を最小限に抑えることができます。
また、大金を持ち歩かないことで緊張感から解放された旅ができるかもしれませんね。
③必要な通貨を必要な分だけ引き出せば、使いすぎや現金あまりを防げる
両替できる機会が少ないと、一度両替所に行ったときに「念のため多めに両替しておこう」と思うものです。
そのため、最終的にお金が余ることのないように、予定よりも使いすぎてしまうことがあります。
その点、いつでも必要な時に現金が引き出せれば両替のしすぎを防げますし、余る現金は少なくて済みます。
海外キャッシングのデメリット
ここからは、海外キャッシングのデメリットをご紹介します。
①毎回ATM手数料がかかるからこまめに利用できない
必要な時に必要な分を引き出す、と言っても、頻繁な利用はおすすめしません。
それは、ATMの利用には毎回手数料がかかるためです。
1回220円のATM手数料でも10回利用すればそれだけで2,200円もかかってしまい、逆に不経済になってしまいます。
1度に引き出す額は多すぎず、計画的な頻度での利用を心がけましょう。
②紙幣の種類を選択できないことが多い
高額紙幣というのは意外と使いづらいものです。
通貨にもよりますが、例えばアメリカドルなら100ドル・50ドル札より20ドル以下の少額紙幣の方が出番が多いのではないでしょうか。
ATMで数百ドルなどある程度まとまった金額を引き出す場合、欲しい紙幣の種類が選べないことがほとんどです。
高額紙幣だと少額の買い物の際にお釣りがないと言われたり、自販機で使えないことがあります。
高額紙幣は、使えるタイミングで早めに少額紙幣に崩すようにしましょう。
③一度に引き出せる金額に限度がある
国や地域、金融機関やATMの機種によって、一度に引き出せる金額や1日に引き出せる金額に上限がある場合があります。
その場合は、カード利用がキャッシング利用の上限額を超えていなくても一定額までしか引き出すことができません。
利用の際の注意点
ここからは、海外キャッシングの利用にあたっての注意点と、上手な使い方について確認していきます。
①帰国後すぐに一括返済すれば、かかる利息は数百円程度
気軽に利用できる海外キャッシングですが、あくまで『キャッシング=カード会社にお金を借りている状態』であることを忘れてはいけません。
引き出しの際はATM利用手数料だけがかかりますが、利用日から毎日利息が加算されます。
そのため、帰国したらできるだけ早く完済するように心がけましょう。
短期滞在で帰国後すぐに一括返済すれば、かかる利息は数百円程度で済みます。
こう考えると利息はさほど高くないと感じられそうですが、一般的な金利は15%~20%と高いのです。
利用額が多ければなおさらですが、完済までの期間が長いと利息は高額になる可能性があります。
「帰国したらすぐ返済」を肝に銘じておきましょう。
②利息が増えることを防ぐには、一日も早く臨時の返済をしよう
海外キャッシングの利息を増やさないためには、「帰国後すぐに一括返済することがポイント」とお話しました。
この時、さらに利息を最小限に抑える方法があります。
それが「臨時の返済」です。
海外キャッシングを利用すると、カード会社が設定した支払日に指定した金額を銀行引き落としなどの方法で支払います。
利息は、利用日からこの支払日までの間も加算されています。
そのため、すぐに返済ができる状態なら支払日を待たずに臨時の返済をしましょう。
臨時の返済は銀行やコンビニなどの提携ATM、銀行振込などで手続きできます。
③ショッピングなど利用限度額に達していると利用できないことがある
海外キャッシングは、持っているカードのキャッシング限度額内での利用が可能です。
1カ月の利用額がキャッシング限度額を超えるとATMは利用できません。
ここで気をつけておきたいのが、「カードによってはキャッシング枠がショッピング枠に含まれている場合がある」という点です。
つまり、ショッピングなどでカードの限度額に達していると、キャッシングを使っていなくても利用ができません。
また、渡航先についてから、キャッシング枠やショッピング枠が思っていたより低かったことに気づく、なんてこともあります。
いざ使いたい時に慌てないためにも、あらかじめカード会社に問い合わせるか、マイページなどで限度額を確認しておきましょう。
必要があれば、増枠の手続きをしておくと安心ですね。
④ATMの操作は時間がかかるとカードが回収されてしまうことがある
最後に、実際にATMを使う際の注意点ですが、機械の操作は手早く行いましょう。
これは、カードの取り忘れや犯罪に対する対策として、操作に時間がかかるなどの場合にカードがATMに回収されることがあるためです。
慣れない機器の操作を行うことで戸惑うこともあるかもしれませんが、実際の操作で慌てないために、手順を確認しておくといいでしょう。
ATMの操作手順(例)
(挿入口にカードを入れてください)
操作:カードを挿入口に入れる
(暗証番号を入力)
操作:カードの暗証番号を入力し、最後にENTER(入力)を押す
(希望の取引内容を選んでください)
操作:WITHDRAWAL(引き出し)、またはCASH ADVANCE(借り入れ)を押す
(引き出しの方法を選んでください)
操作:CREDITを選択
(引き出し金額を選んでください)
操作:表示額から選ぶか、OTHER(その他)を押し希望額を手入力
(操作を続けますか?)
操作:CLEAR/NO(いいえ)またはENTER/YES(はい)
(カードと利用明細書をお受け取りください)
操作:カードと利用明細書を受け取る
万が一カードが回収されてしまった、または現金が出てこないなどトラブルが発生した場合は、ATMに設置されている電話で管理会社に連絡をしましょう。
他にも、安全に利用するためにATM利用時は以下のことにも気を付けて操作をするようにしましょう。
- 早朝や深夜などの時間帯は避ける
- 人通りが少ない、またはとても混雑している場所にあるATMは避ける
- カードが手元に戻るまでATMから離れない
- 利用明細は持ち帰る
まとめ
- 海外キャッシングは、世界主要都市にあるATMから現地通貨を引き出せるサービス
- カードによってキャッシング枠の設定や手続きが必要なことがある
- 利用にかかる費用はATM手数料と利息
- 適度な回数の利用+すぐに返済なら両替所より安く外貨を入手できる
- メリットは「必要な時に必要な額を引き出せる」「大金を持ち歩かなくていい」「使いすぎを防げる」
- デメリットは「頻繁の利用は手数料がかさむ」「紙幣の種類を選べない」「引き出せる金額に上限がある」